日本人は悲観主義

ポジティブ心理学。

 

アメリカで生まれた心理学のようです。

 

その内容は、というと、悲観主義の人より楽観主義の人の方が人生、うまくいく、というのが柱みたいです。

 

確かにわかりますよね、一般的な捉え方をすれば楽天的な人の方がネガティブな人より、何かにつけて楽しいんじゃないかな、って。

 

なるほど。アメリカのボジティブ・シンキングはここからきているんですね。

 

一方、日本人は、元々が悲観主義、な傾向にある、という考え方もあるようです。

 

ユング派心理学者の河合隼雄によると、「日本のカルチャーは原悲から出発している」。原悲とは、「かなしい」がスタートになっている、という意味。かなしいには、「悲しい」「哀しい」「美しい」「愛しい」がある、と。

 

かなしいに「美しい」「愛しい」もあるというのが、なんともユニークですばらしい。言われてみると「ふむふむ」と。

 

とすると、日本人の場合、なんでもかんでも楽天的とは行かない場合もあるのかもしれません。

 

これは、実はすごく大切なことではないでしょうか。

 

アメリカ流ポジティブ・シンキングは、アメリカの人には最適でも、日本人にとっては、アンバランスを生む可能性もあるのかもしれない、ということかもしれませんから。

 

アメリカで流行っている引き寄せの法則。日本人が真似してもうまくいかないことの方が多い、という説もあります。自己啓発もそう。アメリカ的な積極思想なので、中にはよけい辛くなってしまう日本人もいるんだとか。

 

もちろん、それらでうまくいく人もいて、それはそれで素晴らしいこと。

 

が、万人向けではないということも覚えておいた方がいいかもしれませんね。

 

私は、元々かなり楽天的な方だと信じ込んでいました。ところが最近、割と悲観的なのかも、と思うこともあって。だったら、「私は楽観的なところもあるけれど、それと同じくらい悲観的なところもある」ということを受け容れちゃった方が楽だな、と感じました。

 

ポジティブとネガティブ。

 

楽観主義と悲観主義。

 

楽天的と悲観的。

 

実はどれも表裏一体、価値もまったく同じ。あ、そういう捉え方もあるよ、という意味です。

 

ものすごく悲観的な人が無理やり楽観志向にしたら、最初は気持ちいいでしょうけど、どこかで自分自身とかい離してしまうこともあるかもしれません。

 

これは私自身も体験したことがあるんですけど、引き寄せの本を読んでいたら、それだけで気持ち良くなってしまったんですね。ところが、読み進めるにしたがって、必死にブレーキをかける自分が出てきました。

 

「こんなにフワフワしちゃっていいの ?」という問いと共に。結局、読み終えたら、これで本当に幸せになれるのかな、落ちこぼれた私は幸せになれないのかな、とドヨ~~ンと気持ちが濁ってしまったんです。おそらく悲観脳が反応したんではないでしょうか。

 

以来、引き寄せっぽい情報は、横に置いておくことにしました。

 

まったく別の方法で自分に向き合いました。辛い想いもしたけれど、確実に自分との距離感が縮まりました。

 

アメリカ人だから、日本人だから、という枠でもなく、私だからそれでよかったということなのかもしれません。

 

例えばつらい時に、「ほら、笑ってごらん」という人もいれば、「思い切り泣いていいよ」という人もいる。「つらいんだね。私でよかったら話、聴くよ」と寄り添う人もいる。

 

それとおんなじ。自分自身がどういうタイプなのか、しっかり見極めて、一番合う方法を探ってあげるのがいいのではないでしょうか。

 

そもそも西洋人と東洋人は、意識の構造が違う、ということを分析心理学のユングは説いています。心理学にもいろいろな考え方があるということですね。これだけ、という絞り込みをする必要はなくて、自分のハートに響くものを上手に組み合わせて活用する、という方法論もあり、ですね。個人的に活用するのならそれで十分な気がします。

 

私自身は、かなしいには、「悲しい」「哀しい」「美しい」「愛しい」がある、というとらえ方が響きました。何だか、とても文学的匂いがするから。かなしい、と一言で言ってもその感情には深み、奥行きがあるということかもしれません。

 

とすると、たとえ悲観主義でもこころの豊かさには変わりないということ。

 

こういう発見があるのが、ユング派理論の大きな特徴です。

 

感情の何一つ取りこぼしがないように、丁寧にすくいあげる。そうやって自分を慈しみ、愛おしむ。

 

私は楽天的な自分も好きだし、悲観的な自分も好き。そう思えると、人にも優しくなれるような気がします。

 

まったくの余談ですが、私は以前ゴースト・ライターをやっていて、その時の先生の理論が「ポジティブ心理学」にそったものだったということにはじめて気づきました。

 

時代の流れ ?  あるいは私自身の変化を感じるキッカケになりました、当エッセイの執筆によって。

 

 

 

 

 

 

※ 追記

 

参考 『生きるとは、自分の物語をつくること』 小川洋子/河合隼雄 著

 

 

 

 

 

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