川はおかあさん ~ 川の神格化に女神性の本質をみる

インドの母なる聖河ガンガー。

 

『ウィキペディア(Wikipedia)』には、『ガンガー(Gaṅgā, गंगा, 恒河(ごうが))は、ヒンドゥー教に伝わる、ガンジス川を神格化した女神。インドでは川自体も「ガンガー」と呼ばれ、「ガンジス」は英語からの借用である。「母なるガンガー(Gangamataji)」とも呼ばれる』と記されている。

 

エネルギーとしての「女神」がポイント。女性性・男性性の両性を兼ね備えているが、その特徴として「女性的」傾向が強いということだろう。

 

以前どこかで目にしたが、実はこの川としてのガンガーは「サラスヴァティー川」ではないか、としている説もあるとのこと。あの、「サラスヴァティー」だ。

 

インドの伝承によると「すべての文明はサラスヴァティー川が創った」として、いまはその「サラスヴァティー川」は姿を消してしまった、しかし「サラスヴァティー川」こそ、原初の神 (女神性の特性) エネルギーであり、すべてのいのちは「サラスヴァティー川」によって生み出された、という話も語り継がれているらしいのだ。

 

「サラスヴァティー川」 ⇒ サラスヴァティー神。

 

日本でいうと「弁財天」もしくは「弁天」。またこれは「瀬織津姫」と同じエネルギーであり、龍や蛇のエネルギーでもある。

 

「サラスヴァティー川」も「瀬織津姫」も「姿を消した、消された存在」 ?

 

この時の「サラスヴァティー」「弁財天、弁天」「瀬織津姫」は一柱の人格神ではなく、原初の「神」エネルギー、すなわち森羅万象全宇宙のシステムと同じエネルギーという意味。それが時に「龍」や「蛇」とも記号化される。

 

さて、「川を母」とするのはインドからの流れなのか。おもしろいことにモンゴルでも「川はおかあさん」と捉えているんだとか。

 

『コトバンク』によると『アジア大陸の東半分、およびその南東ないし東方に散在する島々、ならびに南北アメリカ大陸に広く分布する人種群をモンゴロイドという。地球上の全人口の約3分の1がこれに属する。モンゴロイドとは「モンゴル人のようなもの」という意である。しばしば黄色人種とよばれるが、その皮膚を黄色と称するのは当を得ていない。』とある。

 

我々も「モンゴロイド」の仲間。エスキモーも「モンゴロイド」だ。

 

さて、『地球上の全人口の約3分の1がモンゴロイドに属する』となっている。インドの先住民であるところのドラヴィダ人は、ドラヴィダ語族の言語を母語として使用する民族の総称であり、厳密には人種は問わないものの、肌の色はアーリア人と比べると黒いと言われている。

 

もしかして、「サラスヴァティー」こそが原初の神のエネルギーだ、としているのは、アーリア系ヒンドゥー系統ではなく、トラヴィダ系統なのではないか。

 

だとすると「母なる川」の概念は、白人ではなくカラード、一般的にいわれる有色人種の伝承なのではないか。

 

インド、モンゴル、アジア各諸国、日本。

 

ここに「アフリカ」やオーストラリア先住民・アボリジニ、アメリカ先住民・インディアン、イヌイットを含むエスキモーなども加えられるのかもしれない。その他、私の知らない少数民族グループも含めて。それはおそらく、世界の全人口の約3分の2以上を占めているのではないだろうか。

 

かなりバクッとした捉え方をすると、

 

〇 先住民、もしくは先住民族グループに属するとされる人々

 

は「川はおかあさん」という意識が魂の根っこに息づいて生きている。本人がそうと意識していなくても。

 

その場合、当然、「女神」としての「川の神」、「女性性、男性性を備えている女神性優位エネルギー」を彼ら、私たちは「原初の神、宇宙根源神」エネルギーと捉えてきたのではないか。

 

ここに世界三大宗教との違いが浮かび上がる。仏教、キリスト教、イスラム教のことを世界三大宗教と呼び、これにユダヤ教、ヒンドゥー教を加えて世界五大宗教と呼ぶこともあるらしい。世界五大宗教は「男性神エネルギー」優位の宗教だ。

 

彼らはカーストでありピラミッド型の組織を構築する。

 

一方、「川の神」グループは〇=丸、すべてはひとつ、の世界を構築する。

 

どちらが「良い」「悪い」ではない、どちらが「優性」であり「劣性」でもない。

 

どちらが「ひかり」「闇」でもない。

 

どちらもがすべてあってその均衡の中でシステムの一部として機能している。

 

この違いに気づくだけで、自分の中の何かが変わる気がするのは私だけだろうか。

 

「川はおかあさん」

 

気取りのないモンゴルの人々のこの素朴な捉え方に妙にこころが響いた。

 

私の旧姓は当エッセイの内容とリンクする。

 

また当エッセイは以下のエッセイと話がつながっている。

 

古代蓮、そして弁財天、蛇穴、蛇石、サラスヴァティー ~ 時空のもつれ【前編】

 

ヒンドゥー的女性蔑視の謎 ~ 男性性と女性性のはざまで揺蕩う  

 

「川の神」である 「サラスヴァティー」は確か「言葉の神」でもあった。

 

 

 

◇ 参考

 【ヒンドゥー教】母なるガンガーの神話 ~ガンジス川はどのようにしてできたのか?~

 

 

 

 

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