ユングと河合隼雄

 

あえて敬称略、ユングと河合隼雄。

 

ここ数か月、奇しくも両者の著書の読み比べのように形になった。

 

まったく個人的な感覚なので、どちらが優れている、という比較ではない。

 

まずユング。

 

ユングの書くものは魂の発露だ。

 

ユングは芸術家だ。

 

アートとして、その理論、論文を展開している。

 

相手が理解できようとできまいと関係ない、自分はこう思う、自分はこう感じた、自分はこう視た。

 

河合隼雄は、ユング理論をいかに日本に浸透させるかに尽力をした人物。

 

河合隼雄の作品は、とにかく読みやすい。

 

相手にいかにして伝えられるか、にエネルギーを注いでいる。

 

その分、魂の匂いは薄い。

 

すごく頭が良くて、すごく理解力があって、そういう知識人としての「先生」が教え子に教え諭す匂いを感じる。

 

文章的には、絶対的に河合隼雄の方がわかりやすい。日本人に馴染みのある表現を駆使している。

 

ユングの作品は、「エッ?」と立ち止まるところも少なくない。ただ、ストレートな分、私には響く。

 

河合隼雄の作品が教科書的であるとすれば、ユングの作品はどこまで行っても芸術的だ。

 

もしかしたらこれが「和」と「洋」の違いなのかもしれない。いや、そうではないだろう。「和」と「洋」に分けられるような内容ではない、どちらを取っても。

 

河合隼雄の視線はどこまでも相手の目をみる、のぞく。

 

ユングは誰が目の前にいようと関係ない、みる者はもっと先の何か。

 

一時河合隼雄作品にはまったが、五冊目くらいで、もう大丈夫かな、という気持ちに。何が大丈夫なのか。私が理解できる範囲はこれくらいかな、の意味。これだけの理論を展開している人は、日本人の有識者の中でも数少ないのではないか。素晴らしい洞察力だ。

 

一方、ユング作品は、とにかく読みにくい。なんて複雑なんだ、なんて屈折しているんだ、なんて気持ち悪いんだ、そう感じながら次第にはまっていく。何を読んでもカッコイイ、何を読んでもユング、なのだ。ちょっと触れるだけで魂にエネルギーが届く気がする。

 

その違いは何か、と探ってみると、ハートの温度なのだと感じた。

 

河合隼雄は、彼と同じ時代の知識人と重なり、どこか、少し「上」の人。

 

ユングは人並外れた才能の持ち主なのに、私たちの目線に下がってきてくれている人。

 

河合隼雄は先生であり、父であり。

 

ユングは、人間同士、同じ人間としての目線がある。

 

どちらのカウンセリングも受けられないのは残念だが、もしかしたらカウンセリングにも匂いの差が感じられるのかもしれない。

 

河合隼雄は安定感、安心感。手のひらの上でころころ転がされるような気持ちよさ。彼のヒーリングは「リラックス感」を伴う。

 

ユングには、絶対的絶望感、失望感がある、その反面、強い希望が視えてくる。どん底をみた強さ、とでも言おうか。体験の強さだ。ユングは老体になってもなお、少年らしさがどこかにうかがえる。彼は魂そのものをリペアしてしまう。ダイレクトに。おそらく、その分強い痛みも伴う。

 

河合隼雄なくして、ユングの世界に触れることはできなかった。河合隼雄の日本人論や仏教論、日本の神話論などの分析は、ユングのそれでも叶わない秀逸な理論。

 

一方、ユングは、時空を超えた感が半端ないアーティストだ。視点が立体的で、スケール感が半端ない。劇場型 ? その分、ぶっ飛び感も半端なくて、時々恐ろしくなったりもする。合わない人には絶対合わない。あたりまえだけれど。

 

どちらにも出逢えてよかった、素晴らしい作品群の数々。

 

私の中で「和と洋」なのか、あるいは「温厚とエキサィティング、エキセントリック」の融合はどう進むのか、しばらく時間がかかりそうだけれど。

 

こんな風に、偉そうに「大家」について好き勝手に言える、素晴らしい時代に生まれていることに感謝。

 

ユング、河合隼雄共に稀代の名心理学者だ。

 

彼らに傾注する立場ではないけれど、遅まきながらの、本を通じてのご縁、本当にありがたい。

 

一言加えるのなら、ユングは方向性を見失ってオカルティックに逃げた心理学者ではない。心理学の真理を探究するうえで、必然事項としてオカルティックが組み込まれている、ただそれだけ。それはユングの自伝を読めばわかる。

 

それがユングの独自性だ。

 

好き嫌いは人それぞれだろう。

 

私は人生を変えてもらえるくらいの力をもらった。圧倒的セラピスト。

 

 

 

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ユング学校、卒業 2019年8月17日記

 

 

 

 

 

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